共働きの家庭におすすめと言われている貯金法の1つに「妻の収入を全額貯金に回す」というものがありますね。
お金の流れが簡素化されることにより、「貯金が苦手な人でも貯められる」と、取り入れている家庭も多いのではないでしょうか。
確かに、夫の収入だけで生活することができれば、妻の収入は丸々貯蓄できるという点は大きなメリットですね。
しかし、この貯金法には「合う家庭」と「合わない家庭」があるのを知っていましたか?
合わない家庭がこの貯金法を取り入れてしまうと、知らず知らずのうちに損をしてしまっているかもしれませんよ。
そこで今回は、妻の収入を全額貯金に回す貯金法の、メリット・デメリット、この貯金法が合う家庭、合わない家庭について詳しく解説したいと思います。
こも貯金法を取り入れている方は、自分が「合う家庭」かどうか今一度確認してみてくださいね。
Contents
「妻の収入を全額貯金に回す」ってどんな家計管理法なの?
この貯金法は、夫婦共働き家庭において、夫婦どちらかの収入のみで生活費を賄い、もう一方の収入を全額貯金するという貯金法です。
「妻の収入を全額貯金に回す」とはいうものの、必ずしも貯金に回すのは妻のお金でなければいけないというわけではありません。
通常、結婚すると世帯主は夫になる場合が多く、住居費や光熱費などの契約は世帯主名義とすることが多いですよね。
そのため、手続きが簡単で取り入れやすいということもあり、夫の収入で生活をし、妻の収入を貯金に回すことになる場合が多いと思います。
また、
- 夫の方が高収入である家庭が多い
- 妻の収入は、妊娠・出産などで変動しやすい
という理由からも、「安定した夫の収入を生活費に回した方が管理がしやすい=生活費」となるパターンが多いです。
「妻の収入を全額貯金に回す」メリット
お金の流れが単純化するため、管理がしやすい
この貯金法の一番のメリットは、お金の流れが単純化するため、管理がしやすいという点です。
貯金を自動化するための仕組み作りや、資金移動を行わなくても、強制的に貯金をすることができます。
また、
- 夫の年収からおおよその年間生活費
- 妻の年収からおおよその年間貯金額
を把握することができるため、家計簿をつけなくても生活費・貯金額の把握ができるようになります。
将来の資産形成の見通しが立てやすい
「◯年後にはいくらくらい貯められるのか?」ということを考える場合、
妻の手取り年収×貯金年数
で、概ねの貯金額を推測することができますね。
妻の手取り年収が200万円の家庭の場合、5年で1,000万円貯まる計算になります。
もちろん、将来的に支出が増加し、今と同じ貯金額を継続することが難しくなる可能性もあると思います。
しかし、「夫の収入で生活する」という指標ができることで、生活費の増大を抑制する効果も得られるかもしれません。
妻の収入が増えるほど、貯金額も増える
この貯金法の場合、「妻の手取り月収=貯金額」となるため、妻の収入が増えば増えるほど、単純に貯金額も増加します。
貯金を増やしたいのであれば、妻の収入を増やせば良いということです。
また、
- 妻が定期的に昇給がある(貯金額↑)
- 妻が今後、産休・育休を取得する予定がある(貯金額↓)
- 妻に、専業主婦になりたいという希望がある(貯金額↓)
など、妻の収入が増減する可能性がある場合、それらを見越した貯金額設定をすることができます。
「妻の収入を全額貯金に回す」デメリット
貯金額は妻の収入次第となり、自分たちで選べない
この貯金法の場合、妻の手取り年収が100万円であれば年間貯金額は100万円、妻の手取り年収が500万円であれば年間貯金額は500万円となることから、自分たちで貯金額を選ぶことができません。
夫の収入や、生活費にかかる金額にもよりますが、必ずしもちょうどいい貯金額になるとは限らないというのがこの貯金法の問題点と言えるでしょう。
例えば、妻の手取り年収が120万円で、月の目標貯金額が10万円の家庭であれば「ちょうど良い貯金額」ですよね。
しかし、月5万円しか貯金ができなさそうな家庭では毎月5万円ずつ貯金を切り崩すことになります。
また、月20万円の貯金ができそうな家庭では、もっと貯金ができたはずが10万円しかできなかった…ということになりかねません。
後者の場合、夫の収入からも一定の貯金を行うことで解消される問題ではありますが、前者の場合はそもそもこの貯金法は取り入れるべきではないでしょう。
妻名義の支払いができない
保険料の支払いや妻名義のクレジットカードの利用などで、妻の口座から引き落としをしてしまうと、当初の貯金計画と実際の貯金額が変わってしまう可能性があります。
そのため、妻名義の支払い用の口座を別で用意し、夫の口座から資金移動を行なったり、夫のクレジットカードで家族カードを発行するなど、妻の収入に手を付けないようにするための工夫が必要となります。
妻が家計の管理を行いにくい
夫名義の口座を生活費に利用する場合、妻が家計の管理を行いにくいというデメリットもあります。
夫名義の通帳や、ネットバンキングのIDやパスワードを妻が共有することで多少は解消される問題ではありますが、店頭や電話での手続きは夫本人が行わなければなりません。(代理申請ができるものもありますが、面倒…)
ネットバンキングの場合、アプリを利用すると手続きが簡略化されて便利ですが、そのアプリが夫のスマホにインストールされている場合には妻は管理がしにくくなります。
まずは、目標貯金額を検討してみよう!
メリット・デメリットをあげてみましたが、どちらもこれといった決定打になるものはないかもしれません。
この貯金法が「合う家庭」と「合わない家庭」を見極めるためには、まずは自分たちの家庭の「目標貯金額」をしっかり把握する必要があります。
step1:現状の貯蓄額を算出する
まずは、現状の貯蓄額を算出してみましょう。
最も簡単な貯金額を算出するための方法は、
今の貯蓄残高ー1年前の貯蓄残高
を求める方法です。
今自分たちの家庭の中で動きのある通帳を全て洗い出し、1年前の残高と現時点での残高を比較してみましょう。
もし、ちょうど1年前の残高がわからないという場合は、
(今の残高ー過去の残高)/経過月数×12
で求めることができます。
それぞれの口座の年間増加額(減少額)を合算したものが、現在の年間貯金額ということになります。
現在の残高が250万円で、15ヶ月前の残高が100万円だった場合、
(250ー100)/15×12=120
となることから、年間貯金額は120万円であることがわかると思います。
step2:固定費の中に、節約できる項目がないか検討する
固定費の中に「ここは節約できそう」という項目はありませんか?
例えば、
- 行かなくなったジムを解約する
- スマホを格安SIMに変える
- 生命保険を掛け捨てに変える、解約する
- 電力会社を変更する
など、生活費の中に削れそうな項目がないか見直しをしてみましょう。
仮に、
- ジムを解約:月8,000円の節約
- スマホを格安SIMに変える:月1万円の節約
- 生命保険の見直し:月2万円の節約
- 電力会社の変更:月2,000円の節約
だったとすると、これだけで月4万円、年間48万円の節約が可能です。
固定費の節約方法については、こちらの記事で詳しく紹介しています↓↓↓
https://manekatsulabo.com/saving-fixedcost/
step3:step1とstep2の金額から、目標貯金額を設定する
step1では現状の貯蓄額、step2では今後増やせそうな貯蓄額を算出することができました。
step2で浮いたお金は、見直し前には支払いで消えてしまっていたお金ですので、そのまま貯金に回しても生活には影響の出ないはずです。
step1とstep2の金額を合わせたものが、現時点で無理なく貯金できる最低金額ということになります。
例に挙げたパターンで考えると、
- 現在の年間貯金額:120万円
- 固定費節約分の増加見込み:48万円
ですので、合わせて年間168万円の貯蓄ができる計算となります。
「目標年間貯金額=妻の手取り年収」ならメリットは絶大!
例に挙げた家庭の場合、年間貯金額は168万円ということになりました。
もし、この家庭の妻の手取り年収が160〜170万円程度であれば、「妻の収入を全額貯金に回す」という貯金法がピッタリですので、効果は絶大だと言えるでしょう。
妻の収入が目標貯金額より多い場合の注意点
夫の収入が生活費より少なく、妻の収入が目標貯蓄額より多い場合はどうでしょうか?
その場合、結局妻の収入に手を付けなければ生活できない可能性が高く、「貯金を切り崩す」ということが習慣化してしまう恐れがあります。
貯金を切り崩すことが習慣化してしまうと、むしろ貯金ができなくなってしまうことも考えられます。
夫の収入が多く、生活費予算を上回る場合の注意点
もう1つ忘れてはいけないのが、世帯年収です。
この家庭において、夫の手取り年収が300万円だった場合と、800万円あった場合では果たして同じことが言えるでしょうか?
この貯金法を導入した場合、夫の手取り年収は「年間生活費」を表すことになります。
夫の手取り年収が300万円の家庭の場合、単純に12分の1すると月に使えるお金は25万円となります。
住んでいる地域にもよるかもしれませんが、年払いのものも考慮すると、月に使えるお金は20万円以下となる可能性もあるため、難しいと感じる家庭も多いかもしれません。
逆に、夫の手取り年収が800万円の家庭の場合、12分の1だと66.7万円となることから、夫の収入からの貯金をせずに全てを生活費としているのであれば、明らかに使いすぎだと言えるでしょう。
どの家庭にも「ベストな貯金法!」というわけではない
いくつかの例に挙げたように、「妻の収入を全額貯金に回す」という貯金法は、どの家庭にもベストな貯金法であるわけではありません。
- 夫と妻の手取り年収のバランス
- 目標貯金額と妻の手取り年収のバランス
- 生活費予算と夫の手取り年収のバランス
などを踏まえて、自分たちに合っているかを見極める必要があります。
夫の収入が多い場合、夫の収入からも一定額貯金に回すのであれば、導入して問題はないと言えるでしょう。
まとめ
「妻の収入を全額貯金に回す」という貯金法は、強制的に妻の収入を全額貯金に回すことができるというメリットがあります。
しかし、どの家庭においても「年間目標貯蓄額=妻の手取り年収」となるとは限りません。
年間貯蓄額が、妻に年収次第で決まってしまうことから、まずは自分の家庭の目標貯金額をいくらにするのか検討し、それが妻の手取り年収とマッチするかどうかを把握する必要があります。
目標貯金額と妻の手取り年収のバランスが取れていれば、強制的に貯金ができる仕組みを作れることから、効果は絶大の貯金法になるでしょう。
自分に家庭が「合う家庭」か「合わない家庭」なのかしっかり判断し、メリットが大きいのを確認してから導入するようにしましょう。